Sakana AIで働く研究者インタビュー(2025年3月メディア掲載)



2025年3月発行の「コンピュータービジョン最前線 Spring 2025」(共立出版)にて、Sakana AIの研究者のインタビュー記事が掲載されました。Sakana AIの秋葉拓哉、井ノ上雄一、黒木颯の3名の研究者が、入社の理由、日々の働き方から、研究に取り組むスタンス、AI技術の未来まで、幅広く語りました。

この度、共立出版様のご快諾を得て、インタビュー記事の冒頭部分を転載します。Sakana AIの研究者が日々何を考え、どのような環境で研究に取り組んでいるのかを知っていただく一端となれば幸いです。

インタビュアーは、早稲田大学大学院先進理工学研究科博士後期課程在学中で『コンピュータビジョン最前線』ジュニア編集委員の綱島秀樹さんです。



** 以下「Sakana AI 突撃インタビュー」より転載(※一部抜粋、脚注は省略) **


いくらでも語れるSakana AIを選んだ理由

綱島:はじめに、なぜSakana AIに入ろうと思ったのか動機を教えてください。

黒木:僕はもともとマルチエージェントやcollective intelligenceをテーマに研究をしていました。Sakana AIはnature inspiredを重視していますが、そこに自分の研究との親和性を感じて、これまでの経験をSakana AIで活かせると思いました。また、現実世界におけるエージェントという文脈で賢いロボットを作りたいという目標に対して、基盤モデルをベースにエージェントを作ろうとしているSakana AIの方向性が合致していたためSakana AIで働こうと思いました。

井ノ上:僕は博士号も取得しましたし、大学時代から研究というものにものすごく興味があって、面白い仕事だなと思っていました。新卒で入社した自動運転の会社では、開発を中心に技術を学びながら、グローバルの最前線で研究したいという思いを常にもっていました。そんな中、Sakana AIという面白そうな企業が日本にできて、すごく魅力を感じました。最初はどんな会社かわからなかったものの、社長のDavidがこの会社ですごく面白い研究をしようとしていると知りました。ユニークなことを研究として世に出せる環境は素晴らしいですし、ここで働けたら他には代え難い良い経験になると思ってSakana AIに入りました。

秋葉:いくらでも語れちゃうんですけど手短に言いますね(笑)。僕も2人とまったく同じ気持ちです。加えて別の視点からも話をすると、一番大きい点は「人」だなって思います。いい経験をして、学び、成長し続けて、いい刺激を受けて楽しく生活するには、周りの人たちの質がとても大切です。その観点でSakana AIは僕にとって日本で間違いなくベストで、それだけでもSakana AIを選ぶ十分な理由になります。


(中略)


仕事は100%ガッツリ研究

綱島:みなさんのお仕事の様子についてお聞かせください。

黒木:どのくらい開発、あるいは研究寄りなのかとよく聞かれますが、今ここにいるSakana AIの3人は、基本的に研究をしています。僕はリサーチエンジニアなので、手を動かして実装をしています。イメージとしてはメインプロジェクトが1つ、サブプロジェクトが1つ2つあって、複数プロジェクトに関わっているという感じです。

井ノ上:黒木さんと同じ感じで、基本的には研究に従事しながら、研究のための開発をしています。リリースされているものだと、秋葉さんが開発したモデルマージの手法を使って、新しいタイプの日本語VLM(vision and language model)を作って公開しました。

綱島:ありがとうございます。モデルマージの記事は出た瞬間に拝見しました! リサーチエンジニア/リサーチサイエンティストの方は100%ガッツリ研究をやられているんですね。

秋葉:大学の研究室にかなり近い感じだと思います。強い管理体制はなく、自由かつ創造的に研究できていますね。


(中略)


研究において独自の価値を生み出すとは

綱島:(…)研究において独自の価値はどうすれば生まれるでしょうか。独自の価値を生み出す技術とはどういうものでしょうか。

秋葉:(…)簡単な回答はないと思っています。簡単な答えがあるのであれば、みんなできちゃいますものね。だからこれは考え続けないといけないポイントだし、移り変わり続けるポイントなんですよね。たとえば独自の技術だったものは、フォロワーが現れてすぐに独自ではなくなる可能性があります。そういった中で「独自の価値を生み出すとは」は面白いテーマで、我々のコアカルチャーとして考え続けたいポイントです。(略)

黒木:僕の目線から見ると、周囲に各専門に強い人たちがいて、様々な知識にアクセスしやすい環境が大事だと感じます。いろいろな専門性をもつ人たちとの議論は研究を考えるうえでいい刺激になります。そういうところから新しいアイデアが生まれて、独自の技術につながっていくと思っています。

井ノ上:僕も人はすごく大事だな、と思っています。いろいろなバックグラウンドの優秀な人が会社にいるのはすごくいい環境だなと。自分にはない視点で話す人がたくさんいて、実際にその中から会社として面白いアイデアが生まれています。モデルマージやAIサイエンティストもそうですし、それ以外にもいろいろな面白い研究があります。様々な視点から研究を見てもらえる環境というのは、独自の価値を生み出すにあたってすごくいいですね。

秋葉:(…)2人の回答がすごく良くて刺激を受けました。2人の言う環境というのは確かにそうだなと思います。Sakana AIはみんなの議論が建設的なんですよね。知的好奇心がすごく強い人たちが集まっているので、何かを話す時にまず「それはどう面白いか」の議論になるんですよ。創造性が刺激されるというか、いいところを伸ばすという議論になりがちで、それはすごくいいな、と思います。それともう1つ、僕はチーム作りで「メンバーが適応的である」ことを大事にしています。環境が変わり続ける中で、最初は面白かったものがすぐに面白くなくなって、普通のものになることがあります。その中で、「これが好き!」に固執するのではなく、「今この瞬間に一番面白いことを考えよう」というようにどんどん自分を変えていける人が僕はすごく大事かな、と考えています。

綱島:多様なバックグラウンドの方が集まる中で、いい意味でみなさんが喰い合うような形になって、全体としてより新しいアイデアが生まれていく、という感じなんですね。

秋葉:多様なだけではなくて、みんなが考え方を変えることができる、というのが大事です。昨日言ってたことと違うことを今日言ってもいいんですよ。


秋葉拓哉(左):Sakana AIリサーチサイエンティスト。Sakana AIにフルタイムで入った最初のメンバーで、初期の頃は幅広い業務を担当していた。最近は研究チーム運営と自身の研究を行なっている。2016年頃からずっとDL(deep learning)に触れていて、現在の基盤モデルが登場して以降、この技術を使って面白いことをしたいと考えSakana AIに入社。

井ノ上雄一(中央):Sakana AIリサーチエンジニア。博士課程まで生物学を専攻。在学中にKaggleなどデータサイエンス系のコンペティションにはまったことがきっかけで機械学習を学び始め、新卒では自動運転のスタートアップに1人目の社員として入社。前職ではLLM(大規模言語モデル)を活用した自動運転モデルの開発などに従事していた。

黒木颯(右):Sakana AIリサーチエンジニア。LLMエージェントやモデルマージのプロジェクトに従事。SakanaAIに入社する前はマルチエージェントやcollective intelligenceなどロボット系の研究をしていた。



**** 転載ここまで ****


以上は記事のごく一部の抜粋です。この後も「研究思想」「研究活動以外の研究のノウハウ」「モデルマージ」など、3名のSakana AIでの研究生活や考え方を掘り下げていただいています。ぜひお近くの書店もしくはオンライン書店で「コンピュータービジョン最前線 Spring 2025」(共立出版)でお求めのうえ、全文をお読みください。


Sakana AIは仲間を募集中です!

インタビュアーの綱島さんは、インタビューの最後に「Sakana AIは個人のツテを頼らないと入れないのでは?」とおっしゃっていましたが、公式HPの応募ページから応募してくださった方々の中から、多くのメンバーを採用しています。

2023年の創業以来、革新的なリサーチにフォーカスし、常に業界の枠を超える技術革新を追求してきたSakana AIですが、インタビューを受けた3人が属する研究開発チームに加え、2025年3月頭には「事業開発本部」を立ち上げ、研究成果を実際のビジネスに展開し始めています。

これからの事業拡大を見据え、チームを問わず採用を拡大予定。自らのスキルを活かし、業界の未来を切り拓く仲間として、皆さんの挑戦を心よりお待ちしております。

少しでも興味を持たれた方は、ぜひ採用情報ページをご覧ください。