
Sakana AIは、日本の防衛装備庁と米国国防総省傘下のDefense Innovation Unit(DIU)が主催するチャレンジで、バイオディフェンスと偽情報対策の両部門で新たなAIソリューションを提案し、世界60社の応募の内、日本企業として唯一の受賞を果たしました。(テレビ東京、2025年3月19日)
「日米グローバルイノベーションチャレンジ2025」は、日本の防衛装備庁と米国国防総省傘下のDefense Innovation Unit(DIU)が主催するスタートアップ向けプログラムであり、バイオセキュリティや偽情報対策に貢献する新たな技術を開発する企業を発掘し、防衛イノベーションを推進することを目的とするものです。
2024年12月17日に公開された「バイオディフェンス(生物学的脅威の検出と診断)」および「偽情報対策(情報の正確性の判断と偽情報対策)」のいずれかのテーマに対して、参加企業には約1ヶ月での提案書を作成が求められました。約60社から提出された提案書を防衛装備庁とDIUの専門家が審査し、2つのテーマでそれぞれ6社、計11社のファイナリストを選出。3月19日に、ファイナリスト企業によるプレゼンテーションが東京都内の会場で行われました。

2025年3月19日に東京で開催された「日米グローバルイノベーションチャレンジ」の最終ピッチイベント。
Sakana AIは、参加企業で唯一、両方のテーマでファイナリストとして選出され、さらに、3つの賞のうちの1つである敢闘賞(Innovative Spirit Award)を受賞しました。

防衛装備庁技術戦略部の松本恭典部長から賞状を受け取るSakana AIのデイビッド・ハCEO
防衛分野への新規参入を目指す企業として、Sakana AIは、第1テーマ「生物学的脅威の検出と診断」と第2テーマ「情報の正確性の判断と偽情報対策」という2つのテーマに対し、新たなAIソリューションを考案しました。
いずれの提案も、その専門性の高さもあり1位の受賞には至りませんでしたが、Sakana AIのソリューションは革新的なものであると確信しています。

ファイナリストと受賞企業についての公式発表。Sakana AIは唯一、両部門のファイナリストに選ばれた。
Sakana AIが提案したソリューション
Sakana AIはNVIDIAや日本の大企業から出資をいただく日本のAI研究企業として、日本のニーズに答えるAIソリューションを開発することを大きなゴールとしています。本チャレンジの参加者の多くは、バイオディフェンスや偽情報対策に関する深い専門的知見をもつ企業でしたが、Sakana AIの関心はAI研究にあり、とりわけAIエージェントの可能性を押し広げることにあります。
たとえば、昨年Sakana AIは、科学的発見プロセスを自動化するAIエージェント技術である「The AI Scientist」を開発し、国際的に高い評価を受けました。私たちは、こうしたAIエージェントの研究を通して、バイオディフェンスや偽情報対策といった分野に新しい視点を提供し、その革新に貢献できると考えています。
第一テーマ:生物学的脅威の検出と診断(Biodefense)
バイオディフェンスのテーマに対するSakana AIのアプローチは、最先端のAIモデルとAIエージェントを活用し、生物学的脅威の検出および診断に向けた複数のアプローチです。独自の時系列基盤モデルを感染症の流行予測に活用するほか、人間行動の予測を行うエージェントベースドモデルと生成AIを組み合わせた感染症流行の高精度予測、感染拡大を抑える対応策のオプションとその影響評価、アウトブレイクの発生源特定を支援するソリューションを提案しました。

東京都における感染拡大予測のためのエージェントベースの人口移動モデルの実行例
Sakana AIはAI画像生成および拡散モデルに関する豊富な専門知識を有しており、AIが生成した画像を検出するための独自システムを開発しています。
Alで生成された偽画像や偽動画を高精度かつ瞬時に検知する最先端モデルを開発し、さらにその判断理由を表示するソリューションを提案しました。このモデルは、GoogleのGemini Imagen、Midjourney、OpenAIのDALL-E、FLUX、Ideogramなど、最新のAI生成モデルによって生成された画像を検出することができます。また、スクラッチからモデルを開発するのではなく、既存の基盤モデルを活用していることから、基盤モデルの進化に追随し、効率的にモデルを改善し続けることが可能です。
ソーシャルメディアで拡散されている戦争や災害など画像が、生成AIで作られたものかそうでないかを判別できます。例えば、以下のような画像を判別できます。


偽情報対策のためのAI画像検出モデルのデモ。このシステムは、画像がAIによって生成された可能性の高さを、その理由(説明可能性)とともに提供する。
Accelerating Defense Innovation for Japan
日本の防衛イノベーションを加速する
日本は、世界有数の文化・経済を有する国の一つでありながら、人口減少、産業競争力の低下、そして地政学的緊張の高まりといった課題に直面しています。アジアを代表する民主主義国家として、日本は防衛インフラや防衛能力の強化にも取り組む必要があります。AIだけでそのすべての問題が解決されるわけではありませんが、私たちはAIはそこに大きな役割を果たしうると信じています。
Sakana AIは、今後数十年にわたり日本が直面するであろう課題に対応できるAIイノベーションの創出を目指しています。今回のチャレンジは、Sakana AIが日本の防衛イノベーションを加速する一助となるための第一歩であると考えています。


テレビ東京のニュース番組「WBS」にて、今後10年間のAI、地政学、政府の在り方、防衛の動向についての考えを語ったSakana AIのデイビッド・ハCEO。

今回のチャレンジは、Sakana AIが日本の防衛イノベーションを加速する一助となるための第一歩であると考えています。
Sakana AI
日本でのAIの未来を、Sakana AIと一緒に切り拓いてくださる方を募集しています。
当社の募集要項をご覧ください。
防衛分野で事業開発をする方も募集しています。