英国王立協会特集号に見る、世界モデルの最前線とAIの未来

近年のAIの急速な発展により、AGI、すなわち人間並みの知能はすでに実現したという意見も聞かれるようになりました。果たしてそうなのでしょうか。

鍵となるのが「世界モデル(World Model)」の概念です。 世界モデルとは、生き物やAIが外の世界を内部に写し取り、次に何が起きるかを予測して行動するための土台となるものです。1665年創刊、世界最古の科学誌として知られる英国王立協会の『Philosophical Transactions of the Royal Society A』にて、この世界モデルをテーマにした特集号「World Models in Natural and Artificial Intelligence」が公開されています。

AI・生物学・哲学の第一線の研究者が寄稿しており、Sakana AI CEOのDavid Haも巻頭記事の共著者として参加しています。本特集を貫く3つのポイントをご紹介します。

・「できること」と「わかっていること」は違う

現在の大規模なAIモデルは驚くほど多くのことができますが、それは言葉の並び方のパターンを覚えた結果であって、物事の因果を理解しているとは限りません。計算資源を増やすだけでは、この差は埋まらないという論者がいます。

・自分自身を知るAI AIが自分の内部の状態を予測するように学習すると、内部の表現が整理され、無駄が減ることが示されています。ロボットなど身体を持つAIにとって、自分の状態を把握する力は、状況に応じて動きを変えるための土台になります。

・AIの難問は、生命の難問につながる 世界モデルは、環境中の自分自身を捉えるためのものでもあります。生き物は与えられた情報をただ受け取るのではなく、自ら環境に働きかけて世界を学ぶ。これからのAIはますます人工生命(ALife)の研究に接近していくかもしれません。

「言葉を扱えること」と「世界を理解していること」の間には、まだまだ隔たりがあります。Sakana AIも、RSI Labでの世界モデル・Physical AIの研究を通じて、このテーマに取り組んでいきます。

特集号はこちら:https://royalsocietypublishing.org/rsta/issue/384/2320


AIの難問は、生命の難問へ:英国王立協会が紐解く「世界モデル」と知能の未来